20266.30Tue

犬の食手帳

ワンちゃんの嘔吐の原因は何?自宅でできる対策と食事療法

 

ワンちゃんとの暮らし中で、ついさっきまで元気だったのに突然の嘔吐!

愛犬が急に吐き戻す姿を見て、動揺しない飼い主さんはいません。

「すぐに病院へ行くべき?」
「なにか変なものを食べたのかな?」
「もしかして、重い病気の前兆?」

真っ白になる頭の中で、不安ばかりが膨らんでしまうものです。

大切なのは、慌ててパニックになることではなく、
様子を見ていい吐き方」と「すぐに受診すべきサイン」を見極めること。
そして、吐いた後のデリケートなお腹をケアしてあげることです。

この記事では、臨床栄養学に基づいた「犬の食事」と「健康」に向き合う犬心が、以下のポイントを分かりやすく解説します。

目次

<嘔吐と吐出について>

ワンちゃんが吐くと一言で言っても、実は2つのパターンがある事をご存知でしょうか?

1つは「嘔吐」とよばれるもの、2つ目は「吐出」とよばれるものです。

嘔吐とは、胃や腸の中にあるものを吐き出すこと
食後1時間~5時間してから起こる。
特徴 ➡ 吐く前にゲッ・オエーなどのしぐさがある

吐出とは、食べたものが胃に入る前に逆流し吐き出されること
食後すぐ起こる場合が多い
特徴 ➡ ゲッ・オエーなどのしぐさがなく、突然吐く事が多い

このように
吐く前に前兆がある=嘔吐」
吐く前に前兆が無い=吐出」
を見分ける事で、体調の変化にいち早く気づくことができ病院での診断にも役立ちます。
日頃から吐く様子や吐いたものの状態を観察し、気になる場合は早めに動物病院へ相談することが大切です。

<吐出(突然の吐き戻し)が多いときの日常の工夫>

もし愛犬の吐き方が、2つめの「吐出(としゅつ)」にあてはまる場合、病気というよりも「食べ方」や「食後の過ごし方」が原因になっていることがよくあります。

主な原因は、早食い・食べすぎ・食後すぐの運動などです。お家でできる以下の工夫で、未然に防いであげましょう。

  • 早食い防止のお皿を使う :一気に飲み込むのを防ぎます。
  • ごはんの量を見直す :一度に食べる量が多すぎないか、一度確認してみましょう。
  • 食後は1時間ほど「おやすみタイム」に :食べてすぐにお散歩に行ったり激しく遊んだりせず、胃腸が落ち着くまでゆっくり休ませましょう。

<嘔吐物の重要性>

愛犬が嘔吐した際、多くの飼い主様はすぐに片付けてしまいがちですが、実は嘔吐物にはワンちゃんの健康状態を知る大切な手がかりが隠れていることがあります。
片付ける前に必ず一度しっかり確認してみましょう。

<嘔吐の確認ポイント>

嘔吐をした際、まずは
【嘔吐の色・内容物・匂い・嘔吐回数】
を確認します。
以下のような嘔吐症状がある場合は、注意が必要です。

⚠️ 危険性が高い嘔吐

項目 内容
嘔吐の色 ピンク・赤~黒(赤黒)・緑(泡)
内容物 異物が混ざっている(おもちゃ・ペットシーツ等)
匂い 便臭あり
嘔吐回数 3~4回以上(複数回)

このような嘔吐症状は、ワンちゃんのお身体からの「SOS」の可能性が高いため、病院受診をご検討ください。

✅ 危険性が低い嘔吐

項目 内容
嘔吐の色 透明・泡(白)・黄色
内容物 未消化フード
匂い 酸っぱい・生臭い
嘔吐回数 1~2回

上記のような嘔吐症状の場合は、慌てずしばらくご自宅でワンちゃんの様子を見守ってあげてください。

「透明・白・黄色」の液を吐く場合、多くは胃の中が長時間空っぽの状態、つまり「空腹」が原因です。それぞれの嘔吐物には、次のような体の変化が起きています。

・透明な液・白い泡(逆流性胃炎など)
空腹時に胃酸や唾液が過剰に分泌されたり、お水を一気に飲んだりすることで、胃が刺激を受けて吐いてしまいます。

・黄色の液(胆汁嘔吐症候群)
空腹の時間が長くなると、本来は腸へ流れるはずの胆汁(たんじゅう)が胃へ逆流し、胃の粘膜を刺激することで吐いてしまいます。

※空腹時嘔吐を防ぐには、食事の間隔を空けすぎないことが大切です。
1回の食事量を減らして回数を増やす(例:1日2回 → 3〜4回)か、間食として少量のおやつをあげるのも効果的です。

・未消化フード
異物などは無く、未消化のフードを吐いた場合、早食いや食べ過ぎ、食後すぐ運動した場合などが、主な原因として考えられます。

・匂い
嘔吐物の匂いは、原因によって異なります。酸っぱい匂いがする場合は胃液が混ざっているサインで、生臭い匂いがする場合は胃液と食べたものが混ざり発酵している状態です。匂いの違いを確認することで、嘔吐の原因を把握する手がかりになります。

・嘔吐回数
1~2回程度の嘔吐であれば一時的な嘔吐であるため、少し様子を見てあげてください。

<吐いた後、どうすればいいの?>

ご愛犬が嘔吐した際は、まず安静を最優先し、元気があるか、ないかを確認しましょう。そこから【絶食】するのか【少量食べさせるか】を判断することが大切です。

嘔吐後、元気がある(食べたい意欲がある)場合

対応:半日~1日程度、思い切って「絶食」させてお腹を休ませます。
コツ:「何か食べさせなきゃ」と焦る必要はありません。まずは胃腸を空っぽにして、回復を待ちましょう。

嘔吐後、元気がある(食べたい意欲がある)場合

対応:少量ずつごはんをあげてみましょう。
コツ:見た目が元気でも胃腸はデリケートになっています。いつもの半分以下の量から始め、様子を見ながら少しずつ増やしていきます。

※絶食の場合であっても、水分補給は必要です。嘔吐直後は消化器官などに負担がかかっている場合もあるため「冷たい水」よりも「常温」のお水にしてあげてください。

ご愛犬が嘔吐した際は、いずれの場合も無理をさせず、ゆっくりと回復を見守ってあげてください。症状が長引く場合は、お早めにかかりつけの獣医師へご相談されることをおすすめします。

<嘔吐を繰り返さない!ご愛犬の体づくりに大切な2つのこと>

【ポイント①高消化・栄養価が高い食事】(※高齢や太り気味のワンちゃんは、量の調整が必要)

慢性的な嘔吐症状がある犬には、消化が良く栄養価の高いドッグフードを選ぶことが大切です。

原材料がシンプルで添加物が少なく、そのうえで良質なタンパク質・必須脂肪酸・ビタミン・ミネラルがバランスよく含まれているかどうかが重要です。

こうした栄養素が整ったフードは、胃腸への負担を抑えながら、免疫力の維持や健康な体づくりをしっかりサポートしてくれます。

【ポイント②嘔吐により失われるミネラルバランスの補給】

嘔吐時は水分とともにカリウム・ナトリウムなどの電解質(ミネラル)も失われるため、脱水症状やミネラルバランスの乱れに注意が必要です。これらの電解質は、体内の水分バランスや筋肉・神経の働き、血圧調整など、体の基本的な機能を支える重要な栄養素です。

嘔吐後はこれらの補給にも気を配ってあげましょう。

★ナトリウム・カリウムを補うためのおすすめトッピング

ナトリウム不足の場合:ササミ・チーズ(犬用)・鶏レバー
カリウム不足の場合:サツマイモ・バナナ・かぼちゃ・ブロッコリー

!注意

腎臓・心臓にトラブルがあり、塩分やカリウムの摂取を制限する必要がある子は、量に十分注意しながら取り入れるようにしましょう。

<腸内環境を整えるだけではない!食物繊維のヒミツ>

食物繊維を摂ることで腸内環境が整い、腸の働きが活発になることで、食べたものをしっかり消化・吸収できるようになります。

食物繊維は、以下の2種類があり、それぞれ働きが異なるため、バランスよく摂ることが大切です。

  1. 「水溶性食物繊維」=胃の中でクッションのような働きをする
  2. 「不溶性食物繊維」=胃腸の余分なものを絡めとってスッキリさせる働きがある

★理想の食物繊維バランス=水溶性(10~15%):不溶性(90~85%)

<食物繊維をバランスよく含む食材>

日頃、目にする食材の中にも、食物繊維をバランスよく含む食材は数多くあります。

その中から、特にワンちゃんにおすすめの食材を紹介します。

ぜひ、トッピングなどでご活用ください。

  • 野菜類=にんじん・かぼちゃ・ブロッコリー・キャベツ
  • 果物=りんご・ブルーベリー・バナナ
  • イモ類=さつまいも

【食材を与える際のポイント】

★ しっかり茹でて、細かく刻んであげる(※茹で汁は捨てる)

!注意

野菜の繊維は硬く、生のままでは胃腸への負担になりやすいため、茹でて柔らかくしてから細かく刻んでください。また、糖質やシュウ酸(結石の原因となる成分)を含む食材は、茹でることで余分な成分が茹で汁に溶け出します。茹で汁は捨ててください。

<胃腸が弱った子におすすめ!犬心特製トッピング>

!
注意

下記はあくまで 胃腸トラブルに向けた調理法です。結石がある子やカリウムの数値が気になる子は、蒸さずに茹でる調理法をお選びください。ワンちゃんの体の状態に合った調理法を選択してあげましょう。

▶ キャベツ+リンゴ

キャベツとリンゴに含まれる食物繊維のバランスはワンちゃんの胃腸にぴったり。茹でると水溶性の成分が流れ出てしまうため、蒸し調理がポイントです。

● 調理法(キャベツ:リンゴ= 4:1 の割合)

  1. キャベツはみじん切りにする
  2. リンゴは皮をむいて角切りにする
  3. 蒸し器で5~6分程度蒸す、または電子レンジ600Wで1分程加熱する

★果物の甘みはワンちゃんも大好き。キャベツと混ぜた黄金バランスをぜひお試しください。

▶ 蒸しサツマイモ

サツマイモはワンちゃんにとって理想的な食物繊維バランスの食材。胃腸が弱っているときは、茹でるより蒸す調理法がおすすめです。

● 調理法

  1. サツマイモは皮をむいて細かい角切りにする
  2. 蒸し器で5分程度蒸す、または電子レンジ600Wで4分加熱する

まとめ

愛犬の突然の嘔吐は、飼い主様にとって不安なものですが、まずは落ち着いて嘔吐物の色・内容物・匂い・回数を確認することが大切です。

様子を見ていい嘔吐」と「すぐに受診すべき嘔吐」を見極めることで、適切な対応ができます。

嘔吐後は無理をさせず、元気の有無に応じて絶食か少量給餌かを判断し、ゆっくりと回復を見守ってあげてください。

また、嘔吐を繰り返さない体づくりのために、

  • 消化が良く栄養価の高い食事を選ぶこと
  • バランスよく食物繊維を取り入れる
  • 嘔吐で失われたミネラルをしっかり補うこと

この3つを意識してあげることが大切です。

愛犬の健康を守るのは、日々の小さな観察と適切なケアの積み重ねが大切です。

気になる症状が続く場合は、ひとりで抱え込まず、お早めにかかりつけの獣医師へご相談ください。

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「犬の食手帳」とは、犬の食事について研究していく過程で得た、様々な情報を発信していく「犬の食にまつわる情報マガジン」です。ナチュラル療法食「犬心」の活用法を中心に、病気のワンちゃんはもちろん、健康な子の食事も含めて、「愛犬の食の悩み」を解決に導く情報を発信していきます。 犬の食に精通した専門家が執筆しているため、動物栄養学にもとづく、確かな情報をお届けします。

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