20257.10Thu

犬の食手帳

愛犬に本当に合うごはんとは?「発酵」と犬の食性の深い関係

「愛犬にはなるべく新鮮な食べ物をあげた方がよい」という意識をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

私たちも長年、犬にはフレッシュな食事が一番いいと考えていました。

ですが、犬の栄養について深く掘り下げていくうちに、私たちの考えを大きく変える驚きの発見がありました。

それが「発酵」の力です。

発酵と言えば、味噌やヨーグルトのように腸や健康に良いイメージがあると思います。 実はこの「発酵の力」が犬にとっても非常に有益に働く事が分かってきたのです。 このページでは、犬の進化の歴史をひも解きながら、「なぜ発酵食が適しているのか」をご案内いたします。

 

新事実。犬は「発酵食性」の動物

自然に近い状態で暮らしているワンちゃんの行動を観察すると、もらった食べ物を隠そうとする行動が見られます。

なぜ、すぐに食べずに隠すのだろうと思いませんか?

実は、ワンちゃんの食べものを隠す行動は「食べ物をいったん置いて、発酵熟成させる」ということを目的とした本能に基づく行為です。

このような行動が示すように、犬は本来「発酵食性」と言える性質を持っています。

 

フレッシュ×発酵食、比較テストを行うと…

 

私たちは、発酵が犬にどのような影響をおよぼすのか、現行フードとリニューアルフードで比較テストを行いました。

その結果、犬のDNAからの解析データから、消化、腸内環境、免疫、食いつきのすべての指標で、現在のフードよりも高い数値が得られました。

※1 糞便中に含まれる未消化タンパク質が旧フードよりも約60%減少しました。
※2 免疫システムに重要な遺伝子INF-γの発現量が旧フードに比べて約20%増加を示しました。
※3 糞便中の短鎖脂肪酸(SCFA)濃度が旧フードに比べて約2.5倍増加しました。
※4 食欲に関連する嗅覚受容体全体の反応が旧フードに比べて約25%アップしました。
※検査結果は全て「犬心」独自の研究結果から試算しております。予めご了承ください。

 

スタッフ犬の試食でも、すべてのワンちゃんが発酵熟成肉フードであるリニューアルフードをより好み、スタッフからも「今までよりも、おいしそうに食べてくれる」「満足そう」という声を聞く事ができました。

また、満足度を感じたときに出る脳内ホルモンも旧フードより約30%UPを示しています。

こうした結果からも、ワンちゃんは本能レベルで「発酵食性」に適した体質であることが、より明確になってきました。

 

どうして発酵が合うの?犬の進化2つのストーリー

どうして、ワンちゃんは「発酵食性」なのでしょうか?
その秘密は、ワンちゃんのたどってきた2つの進化ストーリーにあります。

私たちの愛犬のご先祖をたどっていくと、オオカミと共通のルーツを持つ「野生のイヌ科動物」にたどり着きます。
つまり、ワンちゃんの祖先である野生イヌ科動物とオオカミには、似たような環境で生きてきた歴史があり、食べものに対する本能や食べ方にも共通点があるのです。

では、愛犬のご先祖様「野生イヌ科動物」の食性をみていきましょう。

1.野生イヌ科動物の食性ストーリー

犬の祖先や、オオカミなどの野生イヌ科動物には、主に2パターンの食シーンがあります。

食シーン①獲物の内臓から食べる

オオカミなどが狩りに成功すると、肝臓・腸など獲物の内臓を先に食べます。
実は、この食行動は「消化途中の発酵物」を優先的に取り入れるための行為です。

彼らの本能が、草食動物の肝臓・腸などに残っている「未消化の発酵物」を求めているのです。

食シーン②熟成肉・腐肉を食べる

現代の犬がするように、オオカミなども獲物の肉を隠して後で食べる行為が見られます。
これは、犬と同じく「食べ物を発酵熟成」するための行動です。

他にも、オオカミは死んだ動物の肉(腐肉)を好むことも知られています。
こういった食行動から、野生イヌ科動物は「腐肉食性動物」とも呼ばれています。

 

「発酵食性」は野生イヌ科動物の生き残り戦略

野生イヌ科動物が、内臓の未消化発酵物や、腐肉などの【発酵熟成食】を好んで食べるようになったのは、ネコ科動物との生存競争があったからだとされています。

ネコ科動物は、イヌ科動物よりも俊敏性に優れていて、狩りの能力が高い傾向にあります。
純粋な「狩り」能力では野生イヌ科動物はネコ科動物には、ほとんど勝てません。

そこで勝てない相手との食競争を避け、腐肉・熟成肉・発酵食に特化した食性を身につけることで、イヌ科動物は生き残っていったと考えられています。

このように、太古の野生イヌ科動物たちは、さまざまな理由から【発酵食性】を少しずつ身につけていきました。

そして時代が進むにつれて、一部の「野生イヌ科動物」はオオカミとは異なる道を歩み始めます。

それが、人間との共生の道です。

人と暮らすようになったことで、彼らは次第に「イエイヌ」
――つまり、現代のワンちゃんに近い姿へと進化していきました。

では、そんな人と犬の長い共同生活の中で、どのような食の変化があったのでしょうか?

2.犬と人の共生、食進化ストーリー

犬と人が共生を始めたのは、原始時代といわれています。
その当時の人間は、豊かな食生活をおくることは難しく、一緒に暮らすワンちゃん達もフレッシュな食べ物を口にする機会はほとんどありませんでした。

では、当時のワンちゃん達はどんなものを食べていたのでしょうか。

原始時代の犬の食事①干し肉

原始時代に犬が人に分けてもらっていたであろう代表的な食事に【干し肉】があります。

現代に再現した【干し肉】の成分を分析してみると、なんと発酵熟成肉と同じ成分になります。元々持っていた【発酵熟成食】への適性が、人との暮らしでさらに強化されたと考えられます。

原始時代の犬の食事②発酵食

原始~古代の時代、人間は食物の保存のために発酵食を活用していました。
人間と食事を分け合ってきた犬達は、当然のように世界各国、各地域に根ざした発酵・食文化に適応していったと想像できます。

イヌ科&人との暮らしで犬独自の「発酵食性」へと進化

このようにワンちゃん達は、進化の過程で

・元々持っていた「イヌ科動物としての発酵熟成食性」
・人と暮らす中で適応した「発酵食性」

その両方を本能として身につけてきたことがわかります。

 

発酵フード 3つのメリット

フードにワンちゃんの本能に適した「発酵食性」を取り入れることは、栄養学の観点から、3つのメリットがあります。

①消化しやすい

乳酸菌・麹菌・納豆菌などにより分解された発酵フードは、「消化しやすい」ことが利点です。
年齢や健康状態に関わらずワンちゃんにとって、栄養を補うために大切なポイントになります。

②腸内善玉菌を増やす

発酵肉は、フレッシュな生肉よりも犬の腸内の善玉菌を増やす効果があることが確認されています。
実は、フレッシュな生肉だけを主食にしていると、犬の腸内環境は悪玉菌が優勢になりやすい傾向があるのですが、発酵食を取り入れることで腸内細菌のバランスが健やかに保たれるのです。

③免疫力を高い状態に保つ

私たちの研究によって、発酵された肉・魚や、発酵食品に含まれる成分は、犬の免疫力を高い状態に保つことがわかってきました。
これは、イヌ科動物から受け継がれた本能に沿った健康価値なのかもしれません。

これら3つのメリットは、ワンちゃんの「健康長寿」を支える、まさに土台となる要素です。

 

おわりに

2つの進化ストーリーに見られるように、ワンちゃんたちは、イヌ科動物としての本能を受け継ぎながらも、長い時間をかけて私たち人間と共に生きる道を歩んできました。

その中で生まれたのが【犬】独自の「発酵食性」です。
現代に生きるワンちゃんの体にも、この「発酵食性」はしっかりと受け継がれ息づいています。

医療や衛生環境、栄養状態の進歩により、ワンちゃんの寿命は着実に延びました。
その一方で、アレルギーや腫瘍、消化不良など、かつては少なかった不調に悩む子が増えているのも事実です。
だからこそ私たちは、犬本来の食の本能「発酵食性」に着目しながら、飼い主さまと一緒に、大切な健康を支えていきたいと考えています。

 

 

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「犬の食手帳」とは、犬の食事について研究していく過程で得た、様々な情報を発信していく「犬の食にまつわる情報マガジン」です。ナチュラル療法食「犬心」の活用法を中心に、病気のワンちゃんはもちろん、健康な子の食事も含めて、「愛犬の食の悩み」を解決に導く情報を発信していきます。 犬の食に精通した専門家が執筆しているため、動物栄養学にもとづく、確かな情報をお届けします。

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